挨拶代りの勉強遍歴(1)
すっぺと申します。現在大学院で近代文学の勉強をしています。普段はお茶を飲みながらウィンナ・ワルツやバレエ音楽を聴いたりしています。
本当はTwitterに書くべき自己紹介ですが、長々と書いてみたい気もするのではてぶに綴ってみたいと思います。
Twitterは読書垢として始めるつもりだったのですが、自分の調査研究で必要な読書をしていると、なかなか読書垢のようなキラキラした感想は書けないのです。調査というのはクッソ詰まらない本でも読むべきであれば読むものですので。大体好きな作家が特にいるわけでもない私が読書垢を始めようなどというのが間抜けだったのです。
結局Twitterは勉強好きそうな人をフォローしてモチベ上げに使うことにしました。
ここでは勉強遍歴を書いて為人を知ってもらう縁としたいと思います。勉強が大好きなので。
近代文学の勉強は学部三年から始めました。学部二年までは平安時代の文学を勉強するつもりだったのですが、諸々考えた結果近代に転向しました。私は中学生のころから伊勢物語を読み耽るマセガキで近代文学なんて殆んど読んだことはありませんでした。おかげでこの一年は延々と岩波文庫の緑帯を少しずつ読んでいくことになりました。
一方で文学理論への憧れも強く、以下に掲げた本も読んでいました。
- 廣野由美子『批評理論入門』(中公新書)
- 前田愛『文学テクスト入門』(ちくま学芸文庫)
- 橋本陽介『ナラトロジー入門』(水声社)
- 土田友則 等『現代文学理論』
- ジョナサン・カラー『文学理論』
- 石原千秋 等『読むための理論』
『現代文学理論』と似たようなスタイルの入門書。日本文学研究が大きく変わろうとしている時代の匂いを感じる。
多分みんな読んでる。ブックガイド付き。
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松本和也 等『テクスト分析入門』
新しめの入門書。大半は語り論についてだが、構築主義的なアプローチの章もあった記憶。分析対象の作品が巻末についていて読むのが楽。
- 亀井秀雄『超入門!現代文学理論』
ちくまブリマーってのは高校生でも読めるタイトルものだったと思うが、高校生ではどうかなぁ。宮沢賢治の有名な作品を分析対象にしていたりするので気軽に読めるのかもしれない。
あとイーグルトンの『文学とはなにか』も読んだかな。
夏休みは免許を取りながら演習の発表の準備に明け暮れていました。ひたすらある文学論争の言説を収集して、読んでノートに纏めていたり。文献リストが200行を超え、夏休みなのに1日も遊べなかったが、ここでのマゾい体験が、論争を読むのが大好きな資料派の自分の方法の根底にあるので頑張ってよかったです。
3年の後半もポチポチ頑張っていましたが、近代の文学史の授業で理解を深めるために推薦された専門書や自分で面白そうだと思った本も春休みにかけて読んでいました。
- 佐藤卓己『キングの時代』
- 平浩一『文芸復興の系譜学』
- 紅野謙介『書物の近代』
- 『創造された古典』
- イ・ヨンスク『「国語」という思想』
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柄谷『日本近代文学の起源』
- 前田愛『近代読者の成立』
- 松本和也『昭和十年前後の太宰治』
などなど。
三年の一月頃から夏の院試を意識した勉強を始めました。私の大学院で出題されるのは、実作品を読んでいないと回答できない類の問題だったので、読書の蓄積が足りなかった私は春休みから延々と岩波文庫中心に小説を読んでいくことになりました。2~3月は一日一冊ペースで読んでいました。とても辛かったです。ただ研究の見通しをつけるにあたって多読濫読は大切なので、やってよかったことの一つでもあります。
何でも読むとなにがいいかというと
・文学的現象のパターンが頭に入る
・パターンが頭に入っているので、眼前の作品に書かれていることが新奇なものなのかよくあるものなのかを弁別できる。
研究ではそのテクストと他のテクストの差異を見出すことが求められることがあるのでこれは思い返すとやっていて本当によかったです(二回目)。あと専門書の理解度も上がります。
それと、文学とは直接関係ない分野の本も読んでいましたが、文学はあらゆる領域に接続しうるのでそれもテクストから「気づき」を得ることにかなり役に立っています。
岩波現代文庫とかちくま学芸文庫、講談社学術文庫の棚を見ておもろそうな本を抜き出して読むとかしていました。
学部四年篇に続くかもしれないし続かないかもしれない。